UR都市機構の集合住宅歴史館を見学
二度目なのだけれど行ってきた。いわゆる「団地」について色々見学ができ、歴史や昔の家の実物(そう、実物を移設したものだ)を見ることができる。
ところでみなさん団地というものがなにか知っているだろうか、詳しいことはWikipediaでも見ていただくとして、まあ、あの「公団」がつくった集合住宅が団地だと言える。まあ深いこと考えなくても展示は楽しい。、
今回カメラをもっていったのでいくつか貼ってみる。
一番古い同潤会代官山アパート
関東大震災後、戦前の住居である。独身向けの部屋とのこと。四畳半くらいの部屋で、いわゆる流しやトイレはない。ただ、ガスはあるのが不思議。 床は畳というよりござで、その下にコルクがひいてある。そのコルクは分厚くつくってあり、コンクリート(団地は震災復興目的なので、耐震耐火にすぐれたコンクリートなのだ)の水分を吸い込む効果もあったらしい。
中から反対側をみると、不思議な寝台がある。今の一般的な背格好だと狭いくらいだが、当時を感じる。小さな窓が付いているのが可愛い。
なぜか下には旅行カバンもおいてある。寅さんのイメージがある。机もかわいい。今みたいに物が多くなければコレくらいでいいのだろうか。むしろ今のミニマリストな人にはコレくらいのほうがいいのだろうか。
昭和30年台の公団住宅
当時憧れだったダイニング・キッチン付きの住宅、玄関ドア右下に小さく穴で「牛乳受」とかみたことがない。
このころより少し前の話かもしれないが、当時は(ちょうどよい)「ダイニングテーブル」が日本には存在せず、セットで提供されたそうだ。
個人的には陶器でできたヒューズボックスがアツい。流石にブレーカーはつけかえられたものだとおもうが時代を感じる。
チャイムもよい、なんと電池で動作する。サイズがわかりづらいだろうが、正面からいえば牛乳パックをふたまわり大きくしたくらいのサイズがある。
そして火鉢である、見慣れた集合住宅に突然火鉢が登場するのが過渡期という感じがしないだろうか。
そして風呂はこれである、バランス釜どころではない。左下に穴があるがそこに手で火をつけたガスバーナーを突っ込むというすごいシステム、ヒノキの風呂釜が燃えそう。それでもガスがあるからまだましなのだろうが。
いわゆるキッチンシンクもステンレスなどではなく、石の研ぎ出しである。これは学校でみたことあるな。
個人的には「ああ、見たことある風景だ、ギリギリ住めそう」と、「こんなんみたことねえな」が入り混じった不思議な空間で面白かった。
晴海高層アパート
もう、入り口がすごい、こんな鉄製の引き戸は体育館くらいでしかみたことがない。そして牛乳受けはやはりマストなのか。
10階建てというのはこれくらいである。いまでこそ普通なサイズではあるが、当時はデカかったらしい。
このころからエレベーターがついたらしい。今も馴染みがあるOTISである。このエレベーターも勿論移築されたもの(非動作だが)。
ただし、操作盤は全く馴染みがない。エレベーター自体がめずらしいのと、少々複雑な構成(全部の階には停止しない)になっている。
全部の階にはとまらない住宅は今ではほとんど見かけないが、自分はそういった集合住宅にすんでいたことがあるのでわりとせやな、という気分。複雑なので地図もある。(そう、当てずっぽうにいくとたどり着けないのだ)。
少しウケるのが、この建物は2階にいくのにも一度エレベーターで3Fにいって降りる必要がある。しかし2Fの人は「登ればいいだけだろ」という正論をもって二回までの階段が後付されたらしい。なお、その階段も移築されて展示されている。
しかし、この落書きをかいた人たちもまさか移築されてさらにながいこと見世物にされるとはおもわなかっただろうな…。
ところで団地はスケールアウト性(というのは勿論団地用語ではないが)が重視され、画一化されたものではあるのだが、様々な団地の資料をみると案外試行錯誤で、時代とともに変わっていっているものだとわかる(現代もURはあたらしい建物を建築し、住宅の中で使われる技術も色々とかわってきているのを見学で知ることもできる)。
昔あったメタボリズムのあれが実際に団地にも適用されたらしい、いわゆるメガストラクチャのアレであり、設計上は大きな空間をぶち抜いても構造たりうるアレである。この晴海高層アパートは横2、縦3の区画をさらにおおきな構造体でくくってあるとのこと。ぶち抜けば小さな映画館くらいならつくれるだろうか。
実際にはそういった改築は行われることなく解体され、解体時に試験的にぶち抜いてみただけらしいが実際にくずれることはなかったそうだ。(その写真展示もある)
他にも…ミニチュアなど
ここらへんは解説しないけど、まあミニチュアもいろいろある
楽しい。
他にも部屋はあるのだけれど
全部かいてたら大変なので省略、実際にいってみてほしい。(今流行(?)している)「本物のテラスハウス」もあるのだ。
ところで、ほとんどの家には個室的な部屋がない。全部つなげばすごく広く使える家が多い。今は逆にこういうのが流行りなので「これ快適なんじゃないの?」とおもったりしたと同時に、個室ってのは贅沢だったんだなあ…とおもったりした。最近の家ではまた家族のつながりのために個室がなくなる(あるいは、カーテンみたいな区切りになる)物件も多いらしいし時代は繰り返すのだろうか。
ということで、そういう展示を色々見ることができるのでよい。勿論ノスタルジックも楽しめるのだが、説明してくれる係の人も一緒にきてくれるので、質問をすれば学びも多い。(基本随行だが、お願いすればある程度自由に回って見ることもできるはず)
幼少期に団地にすんでいたことがあるのだが、それは「新しい方」だったとよく理解できた。(展示されている多くの建物は、バランス釜ですらないのだ…)
自分は見学二度目なのだけれど、まだ見逃したものがちょっとあり(スイッチとかブレーカーとか風呂とか水道管とかそういうマテリアルの展示をちゃんと見切れていない)、そのうち三度目かなと思っている。みなさんもぜひ見学してみてはどうだろうか*1。
エンジニアならこういうのは割と楽しめるだろうし(見学ルートにもよるが、防音の体験などもある)、そういう人でなくても「カワイイ!」と好評らしい(あくまでらしい)。
こちらからは以上です。